オフィス空室率から考える、失敗しないオフィスの探し方

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

近年、東京都心のオフィス空室率は、過去最低水準で推移しています。
東京駅・渋谷駅周辺や、虎ノ門エリアをはじめ、都心では再開発が行われ、大型ビルや新築ビルのオフィスが増えているにもかかわらず、空室率は低い水準のままです。
空室率が低いということは、オフィスを”借りたい”と思っても、選べる余地が少ないことを意味します。
本記事では、オフィス移転を検討される方に向けて、オフィス空室率とその影響として賃料相場の解説をします。

東京都心におけるオフィス空室率
 1-1.平均空室率、平均賃料の推移
 1-2.今後の予測
2.オフィス空室率とは?
 2-1.オフィス空室率が上下する背景
 2-2.オフィス空室率による賃料相場への影響
 2-3.東京都心5区の過去30年における空室率と賃料相場
3.オフィス探しを行う上での留意点
4.まとめ

1.東京都心におけるオフィス空室率

最新の状況をまとめて解説します。

1-1.平均空室率、平均賃料の推移

オフィス仲介大手、三鬼商事より、東京ビジネス地区2020年5月時点のオフィスマーケットデータが6月11日に発表されました。

平均均空室率は1.64%(前月比+0.08)となり、3カ月連続の上昇でした。
「新型コロナウイルスによる大きな影響は出ていないが、小規模の解約の動きが見られる」「引き続き今後の動向が注視される」としています。新築ビル3棟が満室で竣工したほか、既存ビルでも一部の大型空室に成約が見られたものの、縮小などに伴う解約の動きが出ていたため、東京ビジネス地区全体の空室面積はこの1カ月間で約6,900坪増加しました。
新築ビルの3月時点の空室率は1.85%(△前月比1.46ポイント)、既存ビルの空室率は1.63%(前月比+0.13ポイント)でした。平均賃料は22,836円(前年同月比+1,440円/前月比+16円)となり、2014年1月以来、77カ月連続の上昇となりました。

■空室率、賃料の推移グラフ(2019年1月~)
対象地域:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
※下記出典データをもとに弊社作成

 

 

出典:三鬼商事 オフィスマーケットデータ 2020年6月11日発表
https://www.e-miki.com/market/tokyo/index.html
東京ビジネス地区 2020年05月時点

1-2.今後の予測

これまでは2020年東京オリンピック終了後も、再開発によりビルは増加し続けるものの都心の大規模ビルを中心に、しばらく市況は変わらないと見られていました。

これは”働き方改革”を背景に、多くの企業が、環境改善のために一人あたりのオフィス面積を拡げ、企業間の人材獲得競争でも優位に立つために、カフェやジムなど共用スペースの拡充を進めていた背景があったからです。
また成長著しいIT企業を中心に、利便性の高いオフィスをさらに借りたいという状況が続いていたからです。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による雇用環境の悪化、リモートワークの普及が拡がる中、今後の市況は変化していくと見られています。

2.オフィス空室率とは?

一般的に、全室数に対する空室数の割合を言い、以下の計算式で導きます。
オフィス空室率(%)= 空室数÷全室数×100
(フロアごとに、賃貸区画の大きさが異なる事務所や店舗では、床面積を基準として空室率を算出する場合もあります)

2-1.オフィス空室率が上下する背景

空室率に関しては、空室数が増加すると「上昇」し、減少すると「低下」するものです。
その背景にあるのは、企業などの借主(需要量)と、ビルオーナーなどの貸主(供給量)の需給バランスです。

 

特に、企業などの借主は、経済的な影響を大きく受けます。
好況期においては、採用数を増やすことなどから、オフィス面積の拡大、拠点数を増やすことになります。このような環境下では、空室率は低下します。
一方、不況期は、企業の倒産や合併がおこり、オフィスは縮小され、空室率は高くなりがちです。このようなことから、空室率は、景気の遅行指標のひとつとなります。

2-2.オフィス空室率による賃料相場への影響

空室率が低い時期は、貸主に対して借主が多い、貸し手優位の状態です。
そのため、賃料は上がる傾向になります。近年の東京都心の状況と同じです。

それに対して、空室率が高い時期は、借主に対して貸主が多い、借り手優位の状態です。
空室物件が、世の中に溢れているわけですから、ビルオーナーは「賃料を安くしてでも、入居して欲しい」となり、賃料は下がる傾向になります。

一般に、”空室率5%”ラインが、貸し手・借り手優位の境界線と言われています。

2-3.東京都心5区の過去30年における空室率と賃料相場

1991年以降、空室率上昇のピークは、3度ありました。
・1993~1994年   バブル崩壊後に、オフィスビル大量供給が重なる
・2003年      世界的な景気低迷と、オフィスビル大量供給が重なる
・2009~2011年   リーマンショック、東日本大震災の影響
空室率には、およそ10年のサイクルがありました。

賃料相場は、1990年代のバブル経済の影響時期を除き、2000年以降、1坪あたり平均16,000円~22,000円程度の範囲内で動いており、貸し手・借り手の優位が入れ替わっています。


■過去30年における空室率、賃料の推移グラフ
対象地域:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
※下記出典データをもとに弊社作成

出典:三鬼商事オフィスマーケット情報

https://www.e-miki.com/market/tokyo/

各年12月時点の平均賃料/平均空室率の推移

3.オフィス探しを行う上での留意点

■空室率が低い時期(貸し手優位)

少ない物件に借りたい人が集中している状態です。

不動産会社から、目ぼしい物件が見つかったら、他社に先んずるためにも契約を求められることもあるでしょう。
迅速な意思決定ができるように、社内稟議などの調整・準備を進めておきましょう。
人員増加などにより、将来的に移転が計画されている場合も、あらかじめ人員増加のレイアウトを考えておくなどして、必要面積を想定しておくこともおすすめです。

加えて、不動産会社には、ある程度広く(4~5社程度)問合せ相談をしておくことも必要です。
あらかじめ希望条件に優先順位と幅を持たせ、検討できる物件の母数を増やしておくことも重要になります。

■空室率が高い時期(借り手優位)

空室物件が、世の中にたくさんある状態です。

即入居可能な物件や、すぐに入居して欲しい物件が増えます。
現オフィスの残契約期間の確認や、解約届の提出時期・方法を確認しておきましょう。
また、”借り手優位”となるため、貸し手側に条件面の交渉もできる可能性もあるので、不動産会社を通じて相談してみることもおすすめです。

4.まとめ

オフィス空室率は、借りたい人と貸したい人の、需給バランスで推移しており、経済的な影響を受けます。
また、空室率の推移は、賃料相場とも連動します。
現在の東京都心のオフィス空室率は最低水準で、これまではこの傾向が続くと見られていましたが、今後は変化していく可能性があります。
空室率状況を参考にしながら、オフィス探しに役立てていきましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。