居抜き物件とは?メリット・デメリットと物件探しのポイント&注意点を徹底解説

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居抜き物件を、『物や設備が揃っているので初期費用が安い』『利用開始までが早い』、という印象を持って探している方は多いと思います。
しかし、居抜き物件とはなにか、ちゃんと理解せずに探している方も多いのではないでしょうか。しっかりポイントを押さえておかないと、居抜き物件特有のトラブルを引き起こす可能性があり、退去時に思いがけない損害が発生する事があります。

ここでは、弊社のお客様とのやり取りでよくある事例を踏まえながら、居抜き物件探しのポイントを解説します。
居抜き物件の契約で失敗しないよう、ポイントを押さえて物件を探してみて下さい。

1.居抜き物件とは
 1-1.居抜き物件とは、前テナントの内装や設備が残っている状態
 1-2.居抜き物件のメリット・デメリット
 1-3.どんな業種でも居抜き物件を使える
2.居抜き物件を探す時の押さえるべきポイント&トラブル事例
 2-1.希望の居抜き物件と出会うための3つのポイント
 2-2.選ぶ時は、前テナントの退去理由を必ずチェック
 2-3.契約前には責任の所在を明確に!契約時によくある4つのトラブル事例も紹介
3.居抜き物件を探す時の豆知識
 3-1.居抜き物件の賃料は、普通の賃貸と変わらない
 3-2.初期費用を下げたいのならリース物件もお得
4.居抜きで退去したい方へ!鉄則は『解約予告は6ヶ月以上前に出す』
5.居抜き物件を専門的に扱うサイト5選
6.まとめ

1.居抜き物件とは

居抜き物件を探す前に、そもそも居抜き物件が何なのかを理解しましょう。
もちろん、居抜き物件ならではのメリット・デメリット・注意点が存在しますので、「本当に居抜き物件を探す方向で良いのか?」見極めをしてから探す事が重要です。

1-1.居抜き物件とは、前テナントの内装や設備が残っている状態

■居抜きとは?
居抜きとは、賃貸オフィスを契約する際に、前テナントが使っていたままの状態(パーテーションや床・壁・天井仕様等)を新テナントが引き継ぐことを指します。

■スケルトンとは?
居抜きと逆の意味を持つ『スケルトン』という用語があります。これは内装や設備がなにも無い状態です。つまり、その物件が出来上がった時と同じ状態を指します。クリーニング等をして綺麗にはしますが、使用頻度によって状態の良さは異なります。

居抜き、スケルトンの言葉が指す状態は下記となります。

居抜き  前テナントの内装/設備が、そのまま残っている状態
一部居抜き  前テナントの内装/設備が、一部残っている状態
スケルトン  前テナントの内装/設備が、全く無い状態

ちなみに『居抜き』という言葉の由来は、人が居なくなった家の物をそのまま別の人が使う事を指す『居を抜く』と表現からきています。

■造作譲渡とは?
前テナントから内装や設備を引き継ぐ事を、専門用語で『造作譲渡』と言います。その方法には『無料』『買い取り』の2種類あります。
『買い取り』で引き継ぐ方が一般的で、設備の元々の値段や使用状態などを考慮して交渉し、その値段を決めます。この値段を『造作譲渡費用』と言います。

スケルトンラーメン屋

1-2.居抜き物件のメリット・デメリット

■居抜き物件のメリット・デメリット一覧表

借主(入居希望者)前テナント(退去者)
メリット・初期費用が削減できる・原状回復の費用、手間が省かれる
・開業までの時間を大幅に短縮できる
・前テナントの顧客を呼び込める・引き渡し直前まで営業ができる
デメリット・レイアウトに制限がかかる・解約予告を早めに出す必要がある
・キッチン関係の改装が難しい
・保証書、取り扱い説明書がない
・責任区分がはっきりしない
・全テナントのイメージや評判を引きずる

借主(入居希望者)・全テナント(退去者)にそれぞれに発生する、メリット・デメリットを紹介していきます。

■借主(入居希望者)のメリット・デメリット

借主(入居希望者)メリット
・初期費用が削減できる
内装や設備、備品の用意が既にある状態で入居できるため、初期費用を削減できます。

・開業までの時間を大幅に短縮できる
『探す』『買う』『設置する』などの作業時間が一気に省けるので、開業までの時間を大幅に短縮する事が出来ます。

・前テナントの顧客を呼び込める
前テナントと同じ業種であれば、前の顧客の呼び込みにつながります。

借主(入居希望者)デメリット
・レイアウトに制限が掛かる
前の内装を引き継ぐと、どうしてもレイアウトに制限が掛かります。居抜きを考える場合は、自由なレイアウトを考えるのはとても難しいです。

・キッチン関係の改装が難しい
飲食系でキッチン関係を改装しなければいけない場合、スケルトンより費用が掛かる事もあります。元々ある設備を撤去し、新たに設備を設置するので、余計な手間と費用が発生する事が十分に考えられます。

・保証書、取り扱い説明書が無い
新しく買った備品には当然のように着いている保証書や取り扱い説明書は、居抜きの場合はほとんど付いていません。備品の欠損や老朽化をしっかりチェックしておかないと、買い取り費用を支払ったのに、結局買い足さないといけないという事態を招きます。

・責任区分がはっきりしない
自分が借りる前から空いていた穴やヒビなどをちゃんとチェックしておかないと、いざ自分が退去する時に余計な原状回復を求められてしまいます。『自分が借 りる時にはすでにこの状態だった』と後でちゃんと証明できるよう、責任区分をはっきりさせてから契約をする事が重要です。そして必ず契約書に文章で残しま しょう。

・前のテナントのイメージや評判を引きずる
前のテナントがそこを退去する理由には様々ありますが、例えば、「料理が美味しくない」「事件が起きた」「大きな負債を抱えていた」という理由であれば、そのイメージが新しい借り手にも付いてしまう事があります。なぜ前のテナントが退去したのかもチェックしておきましょう。

■前テナント(退去者)のメリット・デメリット

前テナント(退去者)メリット
・原状回復の費用、手間が浮く
原状回復とは、『物件を借り始めた時と同じ状態に戻す』事で、退去する契約者にはその義務があります。設置した物の撤去、専門業者を呼んで内装等のクリーニングをするので、そこで費用が発生します。居抜きで退去をすれば、その費用や手間を省く事が出来ます。

・引き渡し直前まで営業できる
原状回復に費やす時間も考えなくて済むので、新しい借り手に物件を引き渡す直前まで営業できます。

前テナント(退去者)デメリット
・解約予告を最低でも6ヶ月以上前に出す必要がある
居抜きの設備を借りてくれる人が決まっていないのに居抜き状態で物件を残してしまうと、次に募集する業種が限られてしまいます。その性質上、物件のオー ナーは居抜きを嫌がります。よって、居抜きで出たいと考える場合、解約予告を早く出して、居抜き状態で使ってくれる人を探す期間をなるべく長くする必要が あります。居抜きで出たい場合は、解約予告を最低でも半年(6ヶ月)以上前から出すのが一般的です。

ちなみに、物件を貸す側のオーナーには、居抜きにするメリットは一切ありません。前テナントと新しいテナントが交渉し、どちらがどこまで費用を負担するのかやり取りをするだけなので、オーナーには一切関係無いのです。

オーナーはトラブルなく、新しい借り手が見つかってくれればそれだけでいいので、余計なトラブルを発生させる可能性を考えると、オーナーにとって居抜きはデメリットになりやすいのです。居抜き物件が流行らない大きな原因はここにあります。

1-3.どんな業種でも居抜き物件を使える

どんな業種なら居抜きに適しているのか?、反対に居抜きに適してない業種はあるのか?というと、業種によって居抜き物件への適正が変わるわけではありません。
しかし、居抜き物件が比較的多く、全テナントから引継ぎやすい業種はあります。例えば以下のような業種です。

・重飲食系→ラーメン、居酒屋、ダイニングバー
・軽飲食系→喫茶店
・美容系→エステサロン
・娯楽系→カラオケ

2.居抜き物件を探す時の押さえるべきポイント&トラブル事例

2-1.希望の居抜き物件と出会うための3つのポイント

① 前テナントが同じ業種の物件を探して、居抜き交渉をする
居抜き物件は母数が比較的少ないので、居抜きを条件にすると物件数が限られてしまいます。
そのため居抜きの有無関わらず賃貸物件を探し、同じ業種が入っているテナントを見つけて交渉をしていくと候補物件の母数を増やすことが出来ます。

『同じ業種が入っているテナント』は、ご自身で探すのは難しいので、仲介業者などに相談して資料を出してもらうと良いでしょう。

ただし、解約があと1,2ヶ月後の物件をだと交渉の時間がありません。居抜き許可に関する交渉、造作譲渡金額に関する交渉などの時間を踏まえ、最低でも4ヶ月以上先に解約予告が出ている物件を探すのがポイントです。

② スピード感を持って探す
優良な居抜き物件は募集が出ればすぐに決まってしまいます。例えばラーメン店の居抜き物件は需要がかなり高いので、募集してから2日で終わると言われています。また、居抜きは造作譲渡費用の交渉に意外と時間が掛かります。
そのため物件を見つけたらすぐに内覧し、契約までの意思決定を早くする等、スピード感を持って行動していく事が重要になります。

③ 専門の検索サイトを使う
最近では居抜き物件を専門的に扱う検索サイトが増え、インターネット上でも探しやすくなっています。居抜き物件専門の検索サイトは5.居抜き物件を専門的に扱う業者(おすすめ順)でチェックしましょう。

2-2.選ぶ時は、前テナントの退去理由を必ずチェック

いくつか候補の中から希望の物件を選ぶ時、『なぜ前テナントがここを退去する事になったか』という点を必ずチェックしましょう。
『対応が悪い』『事件が起きた』など評判に関わる理由から顧客の付きが悪くなり、それが元で赤字となって退去せざるを得なくなったケースの場合、次のテナントがその評判を引き継いでしまう可能性もあります。また、場所的な問題で集客に苦戦したかもしれません。

居抜き物件での契約は、内装設備に掛かる費用/手間の削減など旨味に目が行きやすいため、今一度ネガティブ情報がないかチェックしましょう。

2-3.契約前には責任の所在を明確に!契約時によくある4つのトラブル事例も紹介

■契約前には、責任の所在を明確に

契約をする前に、責任の所在を契約書内容でチェックしておく事が重要です。確認ポイントは以下の通りです。

・設備の所有者チェック
設備を引き継ぐ時、『前テナントの買った物か』『物件オーナーの所有物か』『リースか』をチェックしておきましょう。設備を撤去したい時、故障した時に責任の所在がはっきりしていないと揉め事の原因になります。

・原状回復の範囲
退去前の原状回復で、どの状態まで元に戻せばいいのかを契約締結前にチェックしておきましょう。自分が退去する事になった時、オーナーに前のテナントが造 作した設備を撤去してくれと言われる事も少なくありません。原状回復は、借りはじめた状態に戻せばいいので、自分に関係がない造作の撤去費用を無駄に払う必要はありません。契約書に責任の範囲がどのように記載されているのか、十分チェックしておきましょう。

■よくある4つのトラブル事例

① 交渉相手が決済権を持っておらず、契約締結までに時間が掛かった
弊社のお客様で、自分が求める内装、設備が揃っていた賃貸物件を見つけられて、なんとかそれを居抜きとして利用させてもらえないか交渉された方がいました。結果、交渉を長引かせてしまい、交渉完了からドタバタでの契約締結となってしまいました。原因は、交渉の相手方の窓口が総務の方で、財務に関する決済権を持っていなかった事です。

賃貸で出している物件を居抜きで使わせてもらう時や、居抜き物件の造作譲渡費用を決める時など、交渉するタイミングで重要になるのは『誰と話をするか』です。
居抜き関連の交渉は費用に関する話がほとんどの為、交渉時は必ず相手方のCFOなど財務に関する責任者と話をする事が、時間を掛けない為の大きなポイントになります。

② リース物に気づかず代金を請求された
居抜き物件の契約が無事完了した後、引き継いだ備品の中にリース物がある事が発覚し、新しい借り手がリース代を払う羽目になったケースです。これは設備の所有者のチェックを怠った為に起こるトラブルの典型例です。

③ 前テナントが空けた壁の原状回復を請求された
退去時、前のテナントが空けた大きな穴を直してから出て行くようオーナーに言われたケースです。穴を空けたのは自分ではない事を訴えるも契約書にその記載が無く、余計な原状回復費を払う羽目になってしまいました。
これは契約前に、原状回復の範囲に関して契約内容のチェックを怠った典型例です。よくある事なので、必ず責任の所在は文章で残しましょう。

④ 明け渡してすぐに設備が故障し、責任の所在で揉め事に
造作譲渡はオーナーには関係なく、完全に前テナントと新しい借主の当事者間の自己責任になる為、揉め事になる事があります。
居抜き契約が終わっていざオープンという所で、急にキッチン設備が動作しない、故障が発生した、なんて事は良くあります。その場合、責任は買主にあるのか?売主にあるのか?で揉めるケースが多いです。こういう事が起こる可能性も考慮した上で、慎重に契約を進める事をおすすめします。

3.居抜き物件を探す時の豆知識

3-1.居抜き物件の賃料は、普通の賃貸と変わらない

基本的に居抜き物件の賃料は、通常募集されている物件の賃料と同じと考えてよいです。
前テナントが設備や内装を残すと、印象として『中古感』が強くなる為、賃料が安くなるのではないか?と考える方が多いですが実際はそんな事はありません。ただ、居抜きのまま次の借り手が付かずに募集されている物件に対しては、それを交渉の材料に使うと賃料が下がりやすくなる場合もあります。

3-2.初期費用を下げたいのならリース物件もお得

『初期費用を下げたい』『開業までの時間を掛けたくない』という理由で居抜き物件を探す方は、『リース物件(リース店舗)』もおすすめです。
リース物件は居抜き物件とは異なり、所有者や退去時にかかる費用を誰が負担するかなど責任の所在がはっきりしています。そのため造作譲渡の交渉などが必要がなく、より短時間で開業が出来ます。また故障対応やメンテナンスは全てリース会社がやってくれる点もメリットです。

長期的な利用の場合は結果高くついてしまう可能性があるため向いていませんが、利用する期間が決まっている方は計画的に使えばとてもお得な物件になります。

4.居抜きで退去したい方へ!鉄則は『解約予告は6ヶ月以上前に出す』

前章までは居抜き物件を探す側の視点で説明してきましたが、ここでは居抜きで退去したい場合のポイント解説をしていきます。

・解約予告は6ヶ月以上前に出す
居抜きで出る時は、それを使ってくれる人を見つけてからでないと退去させてもらえないのが一般的です。その期間を十分に確保する為、6ヶ月以上前に解約予 告を出しましょう。早ければ早い程良いです。例えば契約当時、『解約する時は3ヶ月前に予告をする』という取り決めをしていたとしても、もっと早く解約予 告を出す分には、オーナーにリスクは無いので 問題ありません。使ってくれる人を探す期間、どこまでを譲渡するのか範囲を決める期間、造作譲渡買取金額の交渉をする期間など、やる事は意外と多いです。

・マッチング業者を使う
居抜きで出たい人と居抜きで借りたい人を結ぶ為のマッチング業者が居ます。出る側としては、探す事に時間を費やしたくないのでとても重宝しますが、マッチング業者の母数が少ないのが現状です。以下でオススメ業者をご紹介します。

そのまんまオフィス
サンフロンティア不動産が運営するマッチングサイトです。管理物件数が多く取り扱っている不動産業者のため、希望条件を満たしたマッチング先が見つかりやすいです。
そのまんまオフィス

5.居抜き物件を専門的に扱うサイト5選

at home
言わずと知れた大手物件検索サイト『at home』は居抜き物件も扱っています。
他サイトに比べ全国手広くやっているのが特徴的で、業種別に細かく検索できる点も便利です。居抜き物件は都内だけでも約1,300件の取り扱いがあります。(※2020年7月時点)

athome

ぶけなび
飲食店が母体の会社が運営しているサイトのため、飲食系に関する知識やノウハウがある不動産業者です。
取り扱いエリアは東京/神奈川/千葉/埼玉で公開物件数は約13,000件と取り扱い数も豊富です。(※2020年7月時点)

居抜き市場
飲食以外でも、エステ、歯科など、取り扱い幅が広く、サイト上ではジャンル別に見る事が出来るため使い勝手が良いです。
取り扱いエリアは東京/神奈川/千葉/埼玉で、約1,900件の居抜き物件が掲載されています。(※2020年7月時点)

飲食店.com
飲食に特化した店舗物件を扱っており、飲食店の中でもラーメン、寿司、焼肉など、ジャンルを細かく分けて検索する事が出来るので便利です。
取り扱いエリアは東京/神奈川/千葉/埼玉で、居抜き物件の掲載が約2,250件あります。(※2020年7月時点)

飲食店ドットコム

居抜き店舗.com
スッキリした作りで、検索しやすいサイトです。内覧会開催日も記載されているため、日程調整がしやすい点もおすすめです。
取り扱いエリアは東京/神奈川/千葉/埼玉で、居抜き物件の掲載が約3,200件あります。(※2020年7月時点)

6.まとめ

居抜き物件は初期費用を削減でき時間も掛からないので、開業し始めの方や出店を早めたい方には魅力的な物件です。
しかし、責任の所在を明らかにしないとトラブルを引き起こす可能性も高いため、紹介したポイントや注意点を踏まえて契約まで進めることが大切です。居抜き物件の特徴をよく理解したうえで、希望物件を探していきましょう。

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