専門家が教える原状回復と東京ルール徹底解剖

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このページにたどり着いたアナタは「東京ルールってなんだろう?」と思って検索していませんか? 東京都の賃貸住宅物件を契約する際に説明を受けますが「長く入居してたので忘れちゃった」「いまいち意味が解らなかった」そんな声を聞く事が多くあります。

実際にこの「東京ルール」は、他の県には適応されていない東京都限定のルールになるため、他県から来た方にとっては 初めて聞く言葉の人もたくさんいると思います。
この東京ルールを理解しておかないと、退去をする際に負担しなくても良い費用を負担してしまったり、敷金が思っていたよりも少なく返ってきても 気がつかないという事に陥るかもしれません。

この記事では、東京ルールによって退去をする際に損をしないために、不動産営業暦10年以上の専門家が分かりやすく東京ルールについてご説明します。
不動産業界の実情も盛り込みながら、今アナタの抱えている疑問を解決します。

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<目 次>

 

1、原状回復と東京ルールとは?

原状回復とは賃貸物件の契約が終了した際に貸主に綺麗な状態に戻してから返すことを言います。住居物件は契約終了後に行い、事務所・店舗物件は契約期間内で終わらせてから貸主に返すことになります。ただし住居物件に関しては一方的に借主が原状回復をするのではなく、貸主・借主双方の費用分担があり、さらに東京都ではある一定のガイドライン(賃貸住宅紛争防止条例)に沿って行われることになります。東京ルールは都内の物件であっても事務所・店舗物件には適用されません。

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この条例は東京都のみに限定されるルールですので通称【東京ルール】と呼ばれています。よって、東京都内にある住居物件の原状回復については東京ルールに沿って行われるということです。

<東京ルール書面>

東京ルール

ただ重要なのはすべてが決まり事ではなく、あくまで「ガイドライン」だということです。例えば壁紙が黄色いか白いかのジャッジは最終的に人間が行うことになりますので規定を設けるのは難しいのです。また貸主・借主が認めた場合には特約という形で別の条文を付け足すことも出来ます。

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1-1 地方ルールってあるの?

「じゃあ地方ルールってあるの?」という声をよく聞きますが、現時点で○○ルールというのは東京都以外無く、不動産会社としても説明の義務はありません。ですが実情として、説明義務はなくとも特に関東近郊では東京ルールのガイドラインに合わせた原状回復を行っていることも多いです。また、一定の条件を設けて借主に有利な内容が追加されている場合もあります。

これは地方の特色というより物件や貸主(もしくは管理会社)次第になりますので東京都以外の賃貸物件を借りる際には事前に確認するのが良いですね。

2、東京ルール(住宅紛争防止条例)の条文解説

東京ルールの内容を一言で説明すると、自然損耗(通常使用の際に汚れる・劣化する箇所)については貸主負担、故意・過失による損耗は借主負担で修繕するという東京都独自のガイドラインになります。ですが自然損耗と故意過失の境目って難しいですよね?実際に貸主・借主の意見がぶつかりトラブルや最悪裁判になったことも過去にあります。そんなトラブルを回避するために施行されたのが東京ルールです。

東京ルールを大きく分けてAサイド、Bサイドに分かれています。実際は同じような内容になりますが2か所に分けて簡単に説明します。

2-1 お部屋は普通に使っていれば費用負担しなくてOKです

Aサイド

このAサイドではお部屋の中の原状回復に関する内容となります。クロスを破いてしまったらもちろん借主の過失なので費用負担をしなくてはいけませんが、電化製品の裏側の黒くなった部分に関しては日常生活の範囲内ということで借主は負担しなくても大丈夫です。(例)に記載されている事例を参照してください。

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また、ちょっと複雑ですがエアコンが水漏れし、放置したために腐食した床は放置した責任があるため、床の修繕は借主負担となります。(エアコンの故障に関してはBサイドで説明しますが貸主負担です)

A-2の負担内容(特約部分)にはルームクリーニング費用は退去時に負担してくださいという内容が入ることが多いです。入っていなければ負担しなくてよいということになりますが、契約書にはほぼ間違いなく記載がありますので実際は負担することになります。

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たまにネット上では「ルームクリーニング費用は交渉しましょう!何とかなります!」などと書かれていることがありますが、現場レベルの話としては、クリーニング費用を交渉・拒否するとそもそも入居審査から落とされてしまいます。借りたものは綺麗にして返すという意識のもと、ここはご理解いただく部分になると思います。

2-2 部屋設備の修理は貸主負担で行います

Bサイド

こちらはAサイドと似ていますが「お部屋」の話ではなく「お部屋の設備」の話になります。

大原則として、貸室内の入居時に設置されている備品 (エアコン・給湯器など)は貸主が借主の為に用意したものであって、故障した場合は用意した貸主が費用を負担して修理するということになります。

ですが、上記の内容だと入居時に用意しておいた備品はすべて貸主負担で修繕することになってしまいます。さすがに貸主も電球が切れたからってすぐに変えてくれる訳ではありません。そこでB-2の特約には<参考>に記載があるように小規模な消耗品の交換は借主の費用負担でお願いしますという内容が入ることが多いです。

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3、敷金の返還について

実際に敷金はルームクリーニング費用・原状回復費用を差し引かれて戻ってきます。概ね30日~60日以内に戻ってくるのが目安です。詳しくは契約書に記載があると思いますのでご覧ください。

ルームクリーニング費用についてはAサイドの特約の中で謳われることになります。あくまで特約なので謳われていなかったら払わなくていいのかということになりますが、実際は借りたものは綺麗にして返すという一般常識のもと、ルームクリーニング費用は退去時にほぼすべての物件で発生します。これは極論ですが、部屋の契約をして1日入居しましたが、都合により出なくてはいけなくなったとしてもクリーニング費用は発生します。これは仮に契約が開始していてもまだ入居していないといった場合でも同様です。

要するに契約したら理由はどうであれクリーニングは必要になるということです。もちろんこれは理屈の話なのであとは貸主次第です。

<ルームクリーニング代の相場>

・30㎡以下の部屋・・・30,000円

・30㎡以上の部屋・・・1㎡当たり1,000円程度

あくまで相場ですが参考にしてください。

本来の敷金に関する原理原則では敷金は支払いが出来なくなった場合の担保として預かる金銭となりますので、退去時には無利息にて全額返還となりますが、金銭の授受をコンパクトにするのと、貸主側の取りはぐれを防ぐためにも差し引かれた全額返還が一般的となります。

4、退去時に損をしないための裏ワザ

ここでは原状回復時に少しでも節約出来るよう誰でも出来るちょっとした裏ワザを公開します。実は知らなかったという知識も含めて覚えておくと大変便利です。是非活用してください。

4-1 入居時には傷のチェックと写真を撮るのを忘れずに

まず契約開始初日に、荷物を入れずに部屋の隅々まで細かい傷や痛んでいる部分を確認してください。

貸主や管理会社がチェックシートを用意してくれている場合が多いですが、無い場合は自分で間取りを書いてここに傷があったと記入しましょう。出来るだけ細かい方が良いです。さらにその写真を撮るのも忘れずに。

そのシートと写真をメールで管理会社に送ってください。郵送だと紛失の可能性がありますが、メールだと履歴が残ります。

こちらのURLに記載されている書式は使いやすいので是非ご活用ください。

<入居時チェックシートURL>

http://www.kushitsutaisaku-navi.com/tool/item/12.pdf

出典:空室対策ナビ

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このようシートに項目チェック+間取り図を添付して傷の位置が分かるようにして写真を撮って送付・保管します。

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上記の写真のような傷はしっかりとチェックしてください。

4-2 6年住んだらクロスや床材の張替え費用は負担無し

これは東京都のガイドラインで定められている内容です。6年経過後には減価償却と同等の考え方でクロスや床材の価値は1円になるとされています。よって6年住み続ければクロスや床材の張替え費用は不要となります。(本物の木のフローリングは耐用年数が長いので傷を付けると修繕費用は高額になりますので注意)

■入居中のフローリングや木目の傷・へこみはパテ&クレヨンで目立たなくしよう

壁や床材の傷やへこみにパテを埋めて修繕出来るツールがホームセンターや100円ショップでも売られています。これは推奨されていることではなく、入居中の傷を簡易的に修繕するものですので退去時には傷を治しましたとちゃんと申告しましょう。とてもきれいに出来ており目立たない場合はそのままで良いと貸主に言ってもらったという声も聞いたことがあります。

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出典:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0091G8LVE/hatena-q-22/

4-3 エアコンが壊れた際の修理に注意

これは退去時の話ではないのですが、真夏にエアコンが壊れた場合すぐに直したくなりますね。「確かエアコンの修理は貸主が負担だったはず・・・」と、勝手に修理業者を呼んでエアコンを直してもらい貸主(管理会社)に請求しても費用を負担してもらえないことが多いです。貸主側は指定業者で直すことによりコストダウンやその後のトラブルが起きた際の窓口を一本化していますので、勝手に直して請求しても対応して頂けません。もちろん貸主によっては窓口を一本化していない場合もあり、貸主からお客様で業者を呼んで直してあとから請求してくださいと言われることもありますが、かなりレアケースです。勝手に設備に手を加えるのは厳禁です。

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4-4 退去の立ち合いは必ずしよう

部屋の退去時には管理会社もしくは貸主が立ち会ってチェックします。忙しいからと言って立ち会わないと意外なところまで請求されることがあります。入居時のチェックシートを元にしっかりと自分の目でチェックして余計な費用を請求されないようにしましょう。管理会社に立ち合いは必要ありませんと言われても行くぐらいがちょうど良いです。

5、よくある質問

お部屋探しをしていると原状回復についてよく質問されます。特に多い質問をQ&A方式でまとめましたので参考にしてください。

Q、部屋に画鋲や釘を打っても大丈夫ですか?

A、入居期間にもよりますので6年間住んでクロスの修繕負担が無い前提でお話しますと、基本画鋲は大丈夫ですが釘はNGとされています。とは言っても画鋲も一か所に複数回刺して穴が大きくなれば釘と同じ扱いをされることもあります。また入居期間が短ければ画鋲の穴も借主の故意過失に充当されてしまうケースもありますので事前に確認・注意が必要です。

Q、タバコの臭いが部屋についてしまったのですが・・・?

A、タバコに対しての考えはかなり厳しく、特約にタバコに臭いがついた場合はクロスの交換、重度の臭いになるとエアコンの交換にまで発展したケースもあります。タバコの臭いは一度着いたらなかなか取れないので、本来修繕する必要のない箇所まで臭いのせいで修繕の必要が出てきます。嗜好品なので強制は出来ませんが部屋では出来るだけ控えたほうが退去時に負担は減ります。

6、トラブル事例と判決

原状回復のトラブルについてネット上では国土交通省や不動産会社、弁護士の方々が事例と見解を紹介されています。気になった人はリンクを参照してください。

 

・国土交通省 原状回復にかかる判例の動向

http://www.mlit.go.jp/common/000991394.pdf

・岩本 洋 弁護士 (一財)大阪府宅地建物取引主任者センターメールマガジン平成26年3月号執筆

http://www.otc.or.jp/page/mmg/m1403_2.html

・株式会社Nextlife 【敷金返還】判例でわかる!原状回復の内容と項目ごとの事例

http://nextlife-sendai.co.jp/2014/10/06/hanrei/

 

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個人的にはこちらのサイトがとても参考になりました。

・第八行政書士事務所

http://ihinseiri-dai8.jp/gaidorain/genzyouhanrei/

事例毎でまとまっているのでとても見やすいですね。とは言っても内容はなかなかボリュームがありますので時間がある時じっくり見てください。

いかがでしたでしょうか? 知らないとこも多かったと思いますが、原状回復時の費用は自分次第で安くすることも出来ます。まだまだ全国的にトラブルの多い問題ではありますが、しっかりと知識を身に付け対策をすることによって事前にトラブルを防ぐことが出来ます。今回得た知識を活かして新生活に役立ててください。

 

 

 

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