対処法は様々!定期借家契約で中途解約する方法

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皆さんは、どんな賃貸物件でも、自分の自由でいつでも解約できるものだとお考えではないですか?

確かに普通借家契約では、自由に解約を申告することができます。
しかし、定期借家契約では、中途解約が出来ないケースの方が多くあるんです。

これを知らないまま、定期借家契約を結んでしまうと、いざ事情があって解約しなければならなくなったとき、あなたにとってデメリットが発生するかもしれません。

この記事を読んで、定期借家契約とその中途解約について理解し、自分の立場を踏まえた上で大家さんや仲介業者と中途解約の交渉が出来るようになりましょう。

目次
1.定期借家契約で中途解約が出来ない理由
2.“原則”外の、中途解約に必要な条件
2-1中途解約に必要な3項目
2-2申告から解約までの期限とコスト
3.中途解約できなくても、コストを抑える方法4
3-1契約前に特約を結ぶ
3-2貸主に“お願い”する
3-3フリーレントを利用して転居先のコストを下げる
3-4又貸し(転貸)してコストを下げる
4.判例から知る、中途解約の違約金額
5.まとめ

1.定期借家契約で中途解約が出来ない理由

定期借家契約には2つの大きな条件があります。

①更新が不可能であること
②中途解約が出来ないこと

つまり結論から述べると、定期借家契約を成り立たせる条件であるため、中途解約は原則できないのです。

一般的な賃借契約である普通借家契約では、貸主に正当な理由が無い限り借主の退去や契約更新の拒絶を言い渡せません。よって、取り壊しや他の使用予定が入っていて、借家として貸し出せる期間が限定される物件を持っている貸主は、その物件を空き家として抱えたままになってしまいます。そういった貸主が増え、空き家だらけになってしまう問題を解決するために作られたのが、定期借家契約です。

その結果、貸主はより自由に自分の物件を貸すことができ、それに伴う収入が約束されることになります。

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上図のように、中途解約の不可は、更新できない一定期間の上での契約で、貸主の収入を保証するために用意されています。そしてその安定収入の上で、借主への賃料値下げといったメリットが提供できるのです。よって中途解約の不可は、両者のニーズを実現させるために必要とされています。

※定期借家契約について、詳しい内容はこちら<http://ashita-office.com/teikisyakka-778

2.“原則”外の、中途解約に必要な条件

中途解約は、基本的に定期借家契約の特約で認められている場合、行うことが出来ます。しかし、物件を借りている間に何が起こって契約を維持できなくなるかは、自分でも予測不可能です。借主の逃げ道がない場合、誰も定期借家契約で物件を借りようとは思わなくなってしまいます。

そこで、1章で述べた「中途解約は原則出来ない」、この「原則」外の部分についてお教えします。

2-1中途解約に必要な3項目

普通借家契約でも分かるように、定期借家契約でも決して借主に不利があってはいけません。そこで、ある一定の条件を満たす借主に関しては、特約がなくても法律で中途解約が認められています。

以下は借地借家法の抜粋です。

借地借家法第38条(抜粋)
5  第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。

条文からポイントを抜き出すと、以下のようになります。
①(一部であっても)居住用として使用していた
②床面積は200㎡未満である
③転勤、療養、親族の介護その他のやむをえない事情で住み続けることができない

以上3点が揃っていれば、借主側から中途解約を言い渡すことが出来ます。
それではこの3点を解説します。

① (一部であっても)居住用として使用していた 
「一部であっても」とは、借りる際に「住居兼事務所」「住居兼店舗」といった形で最初から契約していた場合を指します。反対に、オフィスや店舗のみとして借りている部屋・建物は、この項目の適用外となります。
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② 床面積は200㎡未満である
一部居住用として使っている人も、専有面積は借りている全体含めての床面積になります。
契約時の記載面積で、自分が契約している物件の広さを確認しましょう。

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③ 転勤、療養、親族の介護その他のやむをえない事情で住み続けることができない
このやむをえない事情がどこまで当てはまるのか、というのは明確にされていません。一般的に「借りる時点において、予測することができない事態」を指しますが、既に上げられている3例以外は、弁護士や貸主によって判断が異なります。事情を認めるか否かの最終判断は、裁判所が下すことになっています。

 

前述3点の理由以外に認められやすいものとして外部要因の事情があります。
例えば、「暴力団の入居によって安心して生活できなくなった」場合、これは借主の責任ではない外部の要因です。生活の拠点として安心して暮らせるべきところが不安に脅かされる非常事態ですので、やむをえない事情として高確率で認められるでしょう。また、「勤め先が倒産して、今までどおり賃料を納めることが出来ない」も、倒産したのは外部要因であり、一方で貸主としても物件を貸しているのに賃料が得られなければ双方にとってデメリットなので、やむをえない事情として扱われるでしょう。

一方やむをえない事情のグレーゾーン例として、「結婚」「出産や子供の成長」によって現在の物件では手狭になった場合が挙げられます。貸主側は、収入に関わるのでやむをえない事情には入らないと判断する場合が多いです。しかし弁護士には、やむをえない事情だと考える方が多くいます。なぜなら結婚も出産も相手の事情によって大きく左右される部分であり、外部の要因が強いと取れるからです。

ポイントになるのは、以下の2点です。
①予測できない事態
②外部要因に左右され、自分ではどうにも出来ない事態

この2点を満たしていれば、やむをえない事情として認められるでしょう。

仲介業者の中には、自分達の利益の為に、中途解約の事情について深く吟味せず不可と言い切る業者もいるようです。自分の事情を仲介業者や大家に伝え、その事情では中途解約できないと断られた場合でも、最終的な判決を下すのは裁判所です。諦めずに弁護士に頼り、中途解約を認めてもらいましょう。
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2-2申告から解約までの期限とコスト

以上の3項目を満たして、はじめて貸主に対して解約を申告することが出来ます。
申告後すぐに解約できるわけではなく、1ヶ月の時間が必要となります。そのため、賃料も1ヶ月分は払わなければならないことに注意しましょう。

契約時に交わす特約において、まれに「申告後3ヶ月で解約」「解約に際して違約金を支払う」といった記載が書かれていることがあります。中途解約の基準をクリアしているのに、2ヶ月多く賃料を払わなければならなかったり、1ヵ月分の賃料以外に支払いを求められたりするのは、借主側の不利に当たるので、法律によって無効となります。中途解約を申告した際に、安易に同意しないようにしましょう。

3.中途解約できなくても、コストを抑える方法4

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2章の解約条件をクリアしていない場合、原則中途解約できないことはご理解いただけましたか。
解約条件は居住者へ向けたルールのため、事務所や店舗といった事業用で借りている人はほとんど出来ないことになります。中途解約できないことでの最大の問題は、契約期間中に退去や移転を行うと、利用していなくても賃料を払わなければならないことです。移転の場合は二重支払いになり、金銭負担が大きくなります。

その事態を避けるためにも、ここでは事業用で借りている方に向けて、中途解約にかかる金銭負担を少しでも軽減する方法をお教えします。

3-1契約前に特約を結ぶ無題

契約前に中途解約への下準備として特約を結びましょう。たとえ契約時は解約する気がなくても、未来に何が起こるかは予測不能であり、下準備を済ませておくに越したことはありません。中途解約可に関する特約が見当たらなければ、必ず1度は交渉するようにしましょう。

特約とは本契約に付記される条件です。たとえ、法律として定期借家契約の中途解約が原則できなくても、特約があればこの原則の範囲外にすることが出来ます。「賃借人は,○か月の予告期間を伴った中途解約(解約予告)ができる」「貸借人は契約期間の残りの賃料を違約金として支払う」といった特約の条件を、双方が受け入れることで成り立ちます。

特約の追加は、借主から仲介業者を通して、貸主へお願いする形になります。契約書に特約を記していないだけで、中途解約について厳しく取り決めていない貸主もいます。その場合は、後で意見を変えられると困るので、貸主に頼んで特約を明記してもらいましょう。

また、事業用の契約で居住用と同じ中途解約の条件を求めることは難しいですが、「契約期間の半分は経過しているならば、中途解約の予告期間3~6ヶ月の猶予をとることで中途解約できる」という条件にすると、特約を結んでもらえる確立が高くなります。

事業用で注意しなければならないのは、前章とは違って、借主の不利になるからといった理由で無効にすることは出来ない点です。特に、「定期借家契約なのに中途解約できます」と貸主側に言われた場合は、しっかりと特約の中身を確認し、無茶な中身になっていないか確認しましょう。

3-2貸主に“お願い”する無題2

中途解約には、法で定められた条件を満たす他に、双方の合意によって認められる合意解約があります。しかし、定期借家契約では、法や契約書の上での交渉は出来ないことになっているので、あくまでも借主と貸主の信頼関係や人柄に頼った、“お願い”という形をとらなければなりません。

仲介業者に頼み、大家さんに直接会う、または直接でなくとも仲介業者に話を通してもらう場合、伝えるべき内容は以下の3点です。

・中途解約しなければならない事情
・中途解約時期
・中途解約の際の金銭給付の条件

特に金銭給付の条件が鍵となってきます。
特約の項でも触れましたが、すぐに解約するのではなく3~6ヶ月の予告期間を設けて賃料回収に少しでも安心感を与えると、大家さんからの許可が下りやすくなります。また、予告期間を定めた際に、その賃料を「一括支払いにする」というのも手段の1つです。

そのほかにも、解約の時期として、入居が集中しやすい3月前に退去できるようにすると、貸主の賃料を得られない期間が短くなるので合意してもらいやすくなります。

お願い、という形であっても向こうはビジネスで賃貸を行っているので、交渉であることに変わりはありません。中途解約できないという条件を、反故にしようとしていることを忘れず、丁寧に頼むことがポイントです。

【やむをえない事情(居住用契約の場合)】
居住用の中途解約でも、すぐに法律家や裁判所に頼る人は少なく、まずは合意解約に持っていくでしょう。その際、自分の中途解約の事情をやむをえない事情として認めてもらえるかどうかは大家さんに掛かってきます。
例えば「結婚」による中途解約の場合、契約時は恋人もおらず結婚する予定は全くなかったかもしれませんが、その事情を貸主側は知りません。「子供の成長」を理由に中途解約したい場合、求める教育環境や生活環境が今の借りている物件周辺では得られない、という考えも貸主は把握できません。
合意解約したい場合は、自分のやむをえない事情を、法律家といったプロに伝えるよりもより事細かに伝え、大家さんに納得してもらう必要があります。
それでも許可が下りなかった場合は、前章で記述したように裁判所に頼りましょう。

3-3フリーレントを利用して転居先のコストを下げる無題3

上記2つの手段でも解約できず、契約期間中の賃料を払い続けなればならない場合、移転先をフリーレント物件にすることで賃料との二重支払いを避ける方法があります。

フリーレントとは、契約最初の何ヶ月か分の賃料が無料の物件のことです。マンションやアパートなどの賃貸物件では1~2ヶ月無料が相場ですが、事務所や店舗用の物件では3~6ヶ月無料の物件もあります。
契約期間が残っていながら移転する必要がある場合は、フリーレント物件を中心に探してコストを下げられるようにしましょう。

※フリーレントについて、詳しい内容はこちら<http://ashita-office.com/freerent-525

3-4又貸し(転貸)してコストを下げる無題4

転貸、いわゆる又貸しをすることで、残りの契約期間の賃料を転貸先に任せる方法があります。基本的に、契約書には転貸の禁止が書かれている場合がほとんどですが、貸主の了承を得れば、転貸借契約を結ぶことが可能です。

アメリカでは日本よりも定期借家契約がメジャーであり、そのほとんどが日本よりも厳しく中途解約を禁止しています。その代わり、転貸借に関しては日本よりも緩く、中途解約に代わる一般的手段となっています。一方で、日本の定期借家契約ではあまり浸透していません。なぜなら転貸によるトラブルを危惧するからです。

最も多いのは、貸主と借主、転借主の金銭トラブルです。

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例として、上図のように転貸借を行っている3者がいるとします。転貸借をしていても、本来ならば、変わらず借主が貸主に対して賃料を支払います。しかしこの借主が賃料の滞納をし始めたので、貸主は直接転借主に賃料の支払いを求めました。すると転借主は「自分は借主(転貸主)に払っているから向こうからもらってくれ」と言いました。もう一度借主に請求すると「転借主が払ってくれなくて困っているから直接言ってくれ」と言われます。

このように、誰が支払うのか、契約時にはっきりさせておかなければ、最悪、両者に対しての退去通告となるでしょう。すると、定期借家契約の中途解約のために転貸借をし始めたのに、違約金を支払うことになり、当初の目的から本末転倒になってしまいます。

反対に、その点を契約時にしっかりさせておけば、転貸も有効な手段となります。
仲介する側として、貸主にも転借主に対しても明確な意思表示と契約を提示し、トラブルなく実質的な中途解約が出来るように配慮しましょう。

仲介を行ったことのない業者が突然転貸借を始めるのはリスクが高いので、不動産業者に仲介に入ってもらい、より確実なリスク回避を行うことをお勧めします。

4.判例から知る、中途解約の違約金額

ed9e8fb0f615622375f8e04619faa08c_s基本的に、法律による中途解約でも、それ以外の代替手段においても、1ヵ月分の賃料や違約金として、絶対に金銭は関わってきます。

そして中途解約を巡るトラブルの多くは、残っている契約期間分の賃料を、違約金として支払うか否かになります。
なぜなら、「そもそも中途解約は出来ない」が前提のため、中途解約出来るか出来ないかといった問題は成り立たず、その先の「出て行くならばお金を払え」という問題に至るからです。

それでは実際に、違約金を巡る判例から、どの程度の違約金が求められるのか想定しましょう。

◎賃貸借期間内に賃借人が解約した場合の違約金条項の効力
東京地方裁判所 平成8年8月22日判決
http://www.nichijuken.org/index_files/hanrei/hanreishokai14.html

事件要約
契約期間4年のうち、10ヶ月で解約。残り3年2ヶ月分の賃料相当額を違約金として請求。

特約として「解約する場合、契約期間満了日までの賃料・共益費相当額を、違約金を支払う」

被告 解約背景
事業会社 賃料の滞納
判決
約3年2ヶ月分の違約金を請求するのは貸借人に著しく不利であり、特約が効力を発揮するとしても、全面的に認めることは出来ない。
また、被告解約後、次の賃借人を確保するに要した期間は1年に満たない。よって、解約の翌日から1年分の賃料及び共益費相当額まで有効であり、その余りの部分は公序良俗に反して無効にする。

上の判例を見ていただくと分かるとおり、被告は残り3年2ヶ月の賃料と共益費等のうち、約1年分の支払いという結果になりました。

定期借家契約でも同じですが、違約金はいくらなのか、というのは以下の要因から考慮されていると言えます。

①解約の背景(特に賃料滞納によるもの)
②契約期間
③残りの契約期間
④次の賃借人が見つかるまでの期間

特に、支払い能力があるか、すぐに次の賃借人が見つかり貸主が利益を得られるか、というのは大きく関与します。

定期借家契約では、契約期間中の賃料を払い終えることは契約の義務です。しかし契約期間が残っているけれど、契約を解除、または両者の合意解約とした際、貸主は新たな借主にその物件を貸す場合があります。

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元・借主は賃料ではなく違約金という名目で、残り期間分の賃料を支払います。一方で、新しい借主は場所を実際に借りているので、賃料として支払いを行います。すると、名目は違えど、貸主は2重で賃料を受け取っていると解釈することが出来ます。

退去理由が賃料の滞納など、金銭面の問題だった場合、借主の責任と貸主の重複部分による利益を考慮して、減額判決が下されることもあります。

もしも違約金の請求があまりにも大きく、手に負えないと感じたならば、過去の判例を持ち出して説得する、法律の専門家に相談して示談してもらう、といった手段で貸主に交渉を行いましょう。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。
中途解約をしなければならなくなった時に備え、契約時に特約を取り付けておくことは重要です。もし取り付けられずに中途解約の必要性が生じたら、居住用物件ならば、正当事由にあたるかの確認をします。事業用物件ならば、貸主へお願いするかフリーレントでコストを下げる、転貸の許可を貰うといった代替案で、実質的な中途解約へ至りましょう。

中途解約についての知識をつければ、賃貸物件の中に定期借家物件も入り、より幅広い選択肢から物件を選ぶこともできます。
「中途解約できない」という言葉を恐れず、より良い物件に出会う力になれたら幸いです。

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