定期借家契約を使って、有利に条件交渉を進める方法

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不動産を契約する際に、「定期借家契約」と言われ、何がどうなるのかよくわからない方は多いのではないでしょうか。定期借家契約は基本的に貸主(大家)に有利な契約で、要点を抑えておかないと後々大きなトラブルに発展してしまうこともあります。
そうはいっても、実は定期借家契約を逆手に取って借主側に有利な条件で交渉する事も出来ます。
ここでは、定期借家契約の概要と契約の際の注意点、そして契約の際の交渉ポイントをお伝えします。これを読んでぜひあなたにとって有利な条件で交渉できる知識を身につけて下さい。

1. 定期借家契約とは貸主保護のための法律
1-1. 定期借家契約について抑えておくべき4つのポイント
2. 契約に関する3つの注意点
2-1.  入居中の賃料交渉は基本的に出来ません
2-2.  「定期借家契約」という契約名になっていない事もある
2-3.  契約期間内では違約金が発生
3.定期借家契約を上手に活用する方法
3-1. 申込の際の賃料交渉に活用
3-3.  相場が上がっても、賃料は上がらない
3-4.  賃料交渉には定期借家契約の理由が鍵
3-5.  定期借家契約から普通借家契約に変更
4まとめ

1. 定期借家契約とは貸主保護のための法律

契約形態とは法律に基づいているため、内容が難しく、理解しがたい部分も多くあります。そのため、出来る限りわかりやすく説明していきますので、しっかりポイントを理解していきましょう。

不動産を賃貸契約する際は大きく分けると「普通借家契約」と「定期借家契約」の2つのパターンがあります。それぞれ契約内容は違いますが、簡単に言うと「契約期間」の違いによって、どの賃貸契約になるのかが決まります。その他の違いについては、下記の表をご参考下さい。それでは普通借家契約と比較しながら、定期借家契約を説明していきます。

定期借家契約と普通借家契約との違い

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定期借家契約は、法律で自動更新されないため、契約期間が過ぎれば借主は物件を明渡さなくてはなりません。そのため、貸主にとって都合の良い契約形態です。ただ、この契約形態を上手に活用すると、賃料を減らしたり、原状回復費をなしにする交渉を行える可能性があります。交渉術に関しては3.定期借家契約を上手に活用する方法で紹介します。

ちなみに普通借家契約では、契約期間が終了しても、貸主に正当な理由がなければ自動で契約期間が更新されます。そのため、借主が解約の通知を入れるまでは基本的には貸主からは「出て行って!」と言えないのです。この場合、貸主は安易に借主に物件を貸すことが出来なくなり空き家が多くなってくるため、平成12年3月1日から定期借家契約という法律が作られたのです。

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1-1. 定期借家契約について抑えておくべき4つのポイント

定期借家契約は、普通借家契と大きく違うところが4つあります。こちらをしっかり抑えておかないと、後々困ったことになりますので、しっかり理解しておきましょう。

【定期借家契約を求められる2つの理由】3

定期借家契約を求められる場合は大きく2つの理由です。

 築年数が古く建物の取り壊しが決まっていて、期間限定の物件として貸している場合
 貸主が賃料滞納等を危惧しているため、立場を有利にした状態で物件を貸している場合

これらを理解しておくと、後々再契約や賃料交渉を行いやすいため、どちらの理由によるものなのかを仲介業者等に確認してみると良いでしょう。

【定期借家契約が成立するために必要な事】3

定期借家契約が成立するためには2つの必須事項があります。
① 「契約の更新がなく、期間の満了により終了する」旨を契約書とは別に、公正証書等の書面によって契約を行い、賃貸人から説明をすること。
② 「契約期間満了の1年前から6ヶ月前までに貸主から借主へ契約が終了する」旨の通知があること。
※通知方法=法律上では「文書」による必要とされていませんので「口頭」で行っても問題はありませんが、実際は、後々のトラブルを避けるために「内容証明郵便等」の文書によって行われます。

上記2つを満たしていなければ、定期借家契約の効力は発生せず、退去請求があっても退去する必要がありません。

【1年未満の契約が可能】3

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普通借家契約は契約期間を1年以上で設定するのに対して、定期借家契約では期間を自由に設定することができ、基本的に制限はありません。一部取り壊しが決まっている物件では始めから「〇年の定期借家契約」といった設定がされていることもあります。そのため、普通借家契約では1年未満の契約期間は、「期間の定めがない契約」となってしまうのに対し、定期借家契約では1年未満の契約期間も可能です。短期間のみの使用目的の方も、利用しやすくなっています。

【自動更新ではなく再契約】3

通常の普通借家契約では、借主側の都合によって解約をしなければ契約期間は自動更新されます。ですが、定期借家契約ではこういった自動更新がありません。期間が満了してしまうと、「更新」ではなく「再契約」としてもう一度契約をし直さなければいけません。そのため、好条件で物件を借りる事が出来ても、再契約をする際は一から交渉していく事になります。該当物件を使用する期間の目途が立たない場合は、定期借家契約の物件を避けた方が良いかもしれません。

 

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2. 契約に関する3つの注意点

定期借家契約の物件を借りる場合、契約前に注意しておくべき事があります。あとから定期借家契約を理由にしたトラブルに発展しないためにも、以下の注意点を確認しておきましょう。

2-1.  入居中の賃料交渉は基本的に出来ません

入居中の賃料の増減は基本的には出来ません。そのため、通常は定期借家契約を結ぶ場合は「借主が家賃減額請求をすることが出来ない」という特約がつきます。一般的には借主に不利な特約は無効ですが、定期借家契約ではこうした特約が認められています。賃料交渉をしたくても諦めなければいけない場面が多いです。どうしても減額してほしい場合は、貸主に対して直接「お願い」をするしかありません。

2-2.  「定期借家契約」という契約名になっていない事もある

店舗・事務所用の定期借家契約に関しては、必ずしも「定期借家契約」といった題名になっていない場合があるので注意が必要です。契約期間欄の下に「契約終了の通知をすべき期間」という項目があるので、これがあれば定期借家契約と捉えて下さい。また契約書本文に、第2条「本契約は、前提に規定する期間の満了により終了し、更新がない・・・」と記載されている場合も、同様に定期借家契約になります。

2-3.  契約期間内では違約金が発生

定期借家契約では、途中解約は認められていません。そのため、期間満了する前に解約をしたいと思ったら、残りの賃料を違約金として支払う必要があります。
※例外的にやむをえない理由の場合は、途中解約が出来る場合があります。「①床面積が200平米未満」の「②居住用建物」で「③転勤・療養・親族の介護など」のやむをえない事情がある場合は、途中解約が認められます。この3つ全てが当てはまれば途中解約が認められますので、違約金を支払う必要がなくなります。
※なお、店舗・事務所兼住宅として賃貸している場合であっても、生活の拠点としていれば、居住用建物として認められます。

 

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3.定期借家契約を上手に活用する方法

ここまで見てみると、定期借家契約は基本的に借りる側にとってのメリットが少ないという事が分かります。ですが、目的によっては定期借家契約をうまく活用できる事もあります。これから定期借家契約を活用する方法としていくつかご紹介していきます。

3-1. 申込の際の賃料交渉に活用

「定期借家契約」を利用して、賃料の値下げ交渉に活用できる事もあります。基本的に貸主に有利な法律なので、借主にとってはデメリットの方が多いです。そのため、全ての物件に当てはまるわけではないですが、貸主も賃料の値下げ交渉に柔軟な方が多いです。特に取り壊しが決まっている物件では、出来る限り残っている物件で収益を上げられる方が貸主にとってもメリットになりますので、相場より安く借りる事が出来るケースもあります。ぜひ交渉のための武器として、定期借家契約を利用して下さい。

3-2. 原状回復費を節約

長い間借りる予定がなく、短期間のみの利用を希望している方は定期借家契約の物件が合っている場合もあります。また、築年数が古く、取り壊しが決まっている物件では期間満了後の原状回復をする必要がない場合があります。原状回復をした所で、その後すぐに取り壊すのでは無駄な出費になります。契約上に、はっきりと「免除する」といった文言は入っていない事がほとんどですが、取り壊し予定がある物件では原状回復義務がない所が多いといえます。一般的に原状回復費は「坪×5万円」とされています。20坪なら100万円程浮く事になりますので、引越しの際の費用を節約できます。

3-3.  相場が上がっても、賃料は上がらない

しばらく移転をする必要がない借主にとって、長期間決定した契約内容で借りることが出来ます。契約期間が長期間となる場合であれば、途中で地価などの相場が上昇する影響により途中で賃料が上がる事はありません。相場の変動が激しい地域では、定期借家契約の方が賃料の変動がなく、長い目で見た時に安定したコストで借りることが出来る可能性があります。

3-4.  賃料交渉には定期借家契約の理由が鍵

賃料交渉をする場合、貸主が定期借家契約を設定した理由が大きく関わってきます。
1-1”定期借家契約について覚えておくべきポイント4”でも説明しましたが、①建物の取り壊しが決まっていて、期間限定でしか建物を貸し出せない物件の場合は、大家さんの都合で借主が不利な条件になるため、賃料を下げる交渉も通りやすいです。
一方、②賃料滞納等を危惧しているため定期借家契約を求められた場合は、あまり多くを要求した所で断られる可能性も出てくるでしょう。
②ような状況は新設した企業が借りる場合や、貸主自信が以前テナントとトラブルが発生したため、「定期借家契約で様子を見よう」という場合が多いです。

3-5.  定期借家契約から普通借家契約に変更

定期借家契約であっても、後々普通借家契約に変更できる可能性があります。もともと貸主が家賃の支払いに不安があって定期借家契約にされていた場合、契約期間を通して借主がきちんと支払いを続けていれば、再契約の際に普通借家契約になる場合があるからです。そのため、定期借家契約になっている物件が本当に理想的であったら、そういった可能性にかけて入居してみるのも一つの方法です。定期借家契約は一般的に嫌われていますので、思わぬよい条件の物件を見つめられるかもしれません。

 

4.まとめ  10

定期借家契約は、事業用の物件では珍しくなくなってきました。
一見借主には不利な契約に見えますが、定期借家契約のしくみと注意点を把握することで、有利な交渉に役立てることも出来ます。
契約の際に定期借家契約を求められたら、ここで紹介したポイントを抑え、あなたにとって少しでも有利な条件で契約出来る様にしてください。
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