どこまで我が社が負担する?原状回復義務の範囲教えます!

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オフィス移転をお考えの方は、原状回復とは何かご存知でしょうか。
借主が退去する際に、「借りた物件を全て来たときの通り、元に戻すこと」を指します。

オフィスの原状回復義務の範囲は基本的には100%貸主負担と言われています。
しかし原状回復費用を想定よりも高く請求されてしまったり、初めて移転をする方にとっては分からないことも多く、トラブルが起きやすいのも事実です。

「原状回復費用がどうしてこんなに高額なの?」
「そもそもどうして100%貸主負担なの?」
この記事では原状回復にまつわる疑問にお答えしていきます
しっかりと理解し、無用なトラブルや余計なコストを避けられるようにしましょう。
1、原状回復の義務になる範囲を理解しよう
1-1、住宅、オフィスそれぞれにおける原状回復の範囲
1-2、オフィス物件の住宅との原状回復の違い
1-3、SOHO物件の場合
2、例外に注意しよう!オフィス物件における特約
2-1、オフィスの原状回復は特約によって細かく定められる 
2-2、特約が結ばれていなかた場合 
3、原状回復義務の費用を抑える2つの方法
3-1、相見積もりで値引き交渉する 
3-2、居抜きで原状回復義務を回避する 
4、まとめ

1、原状回復の義務になる範囲を理解しよう

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【原状回復は民法で借主負担が決まっています】
賃貸契約を解約する際、賃借人(借りている人)は借りている物件を「借りたときの状態に戻して」賃貸人(貸している人)に返す必要があります。
この借りたときの状態=原状に戻し物件を明け渡すことを「原状回復」と言います。

原状回復費用の支払いは民法で定められているため、絶対に避けられないものです。

“民法 第545条”

  • ① 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
  • ② 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
  • ③ 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

原状回復で考えるべきは「原状回復をするか、しないか」ではなく「どこまで負担する必要があるのか」ということです。
原状回復の義務はどの範囲まで発生するのかというと、実は住宅とオフィスでかなり違います。
この章ではその違いについてお話していきます。

1-1、住宅、オフィスそれぞれにおける原状回復の範囲

【住宅は「通常の使用を超える損傷」について義務が発生】
住居の場合、住んでいて自然と起こりうる通常損耗や、月日の流れによる経年劣化を賄うための費用は請求されず、通常の使用を超える損耗や毀損があった場合は原状回復の費用を請求されてしまいます。
たとえば壁紙の場合、日焼けは通常消耗のため費用は請求されませんが、タバコのにおいやヤニ汚れは「通常の使用を超える損傷」と考えられ費用を請求されてしまいます。

【オフィスは100パーセント義務が発生】

事業用(オフィス・店舗)の賃貸契約において、原状回復は100%義務になるのが一般的です。
どれだけ綺麗に使用していたとしても原状回復を行う必要があります。
壁・床・天井の塗り直し・張り直し含め、全て綺麗な状態にしなければなりません。

では、なぜ事業用の場合は原状回復の義務が100%貸主に課されるのでしょうか。その理由を次の章でご説明します。

1-2、オフィス物件の住宅との原状回復の違い

住居の場合は通常消耗は原状回復の義務がないのに、どうして事業用物件はすべて借主が負担しなければいけないのかをご説明していきます。

【住居:原状回復費が賃料に含まれる】
事業用物件のことをお話する前に、まずは住居の賃料と原状回復についてご説明します。

住居の場合、賃料には通常損耗や、経年劣化を補修するための費用が最初から含まれています。ほとんどの場合、住居の使用方法は変わらないためどの程度劣化するのか検討をつけやすいというのが理由です。

【オフィス:業種により原状回復費用が違うのであらかじめ家賃に組み込むことができない】
一方、オフィスの場合は住宅用に比べ人数や人の動きの量が明らかに増えます。床やカーペットは磨り減り、傷や汚れは住宅使用よりも度合いが高くなります。
また借主の業種によって使用方法はかなり変わります。
貸し出している期間、どの程度劣化してしまうのか、その全てを予想して通常損耗分を賃料に組み込むことは不可能です。

そもそも事業用の場合、壁紙や床材、配線やパーテーションなど、自社の業種や使いやすさに合わせて、オフィスの内装を1からレイアウトすることがほとんどです。
レイアウトを行った場合、通常の利用ではなく全て借主による超過利用になるので、全負担が課されます。

通常消耗分の予想が難しいこと、事業用の物件は超過利用の部分がかなり多いことから、事務所の賃料には、原状回復費用として一度に支払ってもらえるよう、原状回復費用の100%負担と、壁や床、照明、配線など全て元通りにするように、特約が用意されるのです。

【オフィスの原状回復費用の相場】
オフィスの原状回復は100パーセント借主が負担になりますが、どの程度金額がかかるのでしょうか。
事務所・店舗の場合、事業所の規模によって原状回復の費用が異なります。

小・中規模事務所・店舗(10~50坪)の場合は1坪30,000円~50,000円、大規模事務所・店舗(50坪以上)の場合は1坪50,000円~100,000円が相場となっています。
ですが物件を管理する不動産屋や賃貸人によって1坪当たりの金額に差があります。

特に大手企業が賃貸人の場合は、原状回復する際の指定業者も大手企業となる場合が多く、通常の法人よりも費用が高くなる傾向があります。
小・中規模が安い理由としては、原状回復を行う業者が大手企業ではなく、比較的工事を安く行う業者など使用している為、価格を抑えられるという認識になります。

詳しくはこちらの記事にも記載していますので、参考にしてみてください。
http://ashita-office.com/restoration-costs-market-2027

1-3、SOHO物件の場合

事務所として利用している以上、基本的に100%負担の原状回復です。
しかし、例えばマンションの一室を借りているような小規模のオフィスであったり、従業員数も少なく、什器も特殊なものを使用していない場合は、住宅用に発行された「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下ガイドライン)に沿った判決を下されるケースがあります。

ガイドラインとは原状回復のトラブル防止のために国土交通省が作成したものです。
過去の裁判例をもとに原状回復だけでなく敷金生産などの指標として作成しました。
物件の契約時はもちろん解約時にトラブルになった場合、ガイドラインを参考にすることを国交省は勧めています。

ただし民間賃貸住宅を想定しているため、基本的には事業用物件にガイドラインは適応されません。
ですが近年増加しているマンションの一室をオフィスとして使用するSOHO物件ではガイドラインに沿った判決を下される場合があります。

下記はその裁判の判例をまとめたものです。

《 SOHO物件に住宅用ガイドラインが適用され、敷金全額返還された裁判例》

▼物件の利用条件
①居住用の小規模マンション(賃貸面積34.64㎡)
②築年数20年
③事務所用に設置した物はパソコンとコピー機のみ
④従業員数2人
⑤約8年契約
▼判例
オフィスとして契約したものの、物件はマンションであり機材もPCやコピー機1台しか設置していなかった。
そのため実態としては一般的な住居向けの物件と利用状況が変わらない。
そのため原状回復費用はガイドラインに沿って算定すべき。
※平成17年8月26日東京簡易裁判所
http://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/65-056.pdf

住宅用賃貸の通常損耗の予想が適用される範囲内とされました。よって通常損耗は月々の賃料で賄われていることになり、ガイドラインに沿って経年変化も考慮され、敷金の全額返金という結果となったのです。

ポイントは、事務所を住宅で構えるSohoタイプであり、その住宅も築年数が古く、狭い物件であったこと、そして特別な什器もなく住宅使用予想内の人数であったことです。

2、例外に注意しよう!オフィス物件における特約

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2-1、オフィスの原状回復は特約によって細かく定められる

事業用の物件は契約時に、原状回復費用の100%負担と、壁や床、照明、配線など全て元通りにするように、特約が用意されるのが一般的です。

賃貸契約書に以下のような、原状回復の特約が明記されます。

例「乙は本物件内に取付、施設した造作、間仕切、建具等および諸設備を乙の費用で撤去し、壁、天井の塗装、床の張替えなどを行い、原状に回復して甲に明渡さなければならない」

こちらの例で明記されているのは壁、天井の塗装、床の張替えの3点ですが、一般的には以下8点について原状回復を要求されやすいです。

①間仕切り
②ドアや窓
③壁、天井の塗装
④床の張替え
⑤電気等の配線
⑥照明
⑦飾り棚といった造作
⑧水回り

また入居して間もない時期、とても綺麗な状態のまま退去せざるを得なくなることもあると思います。その場合でも、基本的には特約に従い、100%原状回復を行わなければなりません。しかし貸主の中には、綺麗ならばそのまま退去してくれても構わないと言ってくれる方もいます。

この点は、貸主次第ですが、基本的にはたとえ1日でも入居したらすべて原状回復義務がある、と覚えておきましょう。

2-2、特約が結ばれていなかった場合

一方で、2-1で紹介したような特約が結ばれていなければ、100%の原状回復義務の発生にはなりません。

貸主の中には、事業用ならば原状回復は100%義務である、という言葉だけを覚えており、特約の明記まで把握していない人もいます。
こちらは特約の説明が不十分で、原状回復を100%行わなくても良いと判断された事例です。
結果、超過損耗分のみの原状回復となり、敷金の返還が認められました。

 《特約の説明不足により原状回復義務が100%必要ないと認められた裁判事例》

特約「賃借人は本件貸室内の物品等一切を搬出し、賃借人の設置した内装造作諸設備を撤去し、本件貸室を原状に修復して賃貸人に明け渡す」は、事業用であっても借主が原状回復費用を負担する旨の特約とは言えない。
借主にとって、通常損耗の原状回復負担は特別の負担になるため、通常損耗について具体的に明記されている必要がある。
もしくは、契約時、貸主が口頭で説明し、借主がそのことを明確に理解し、合意しなければならない

※平成18年5月23日大阪高等裁判所の事例(要約)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/503/033503_hanrei.pdf

原状回復の義務については貸主、借主の認識の違いが原因でトラブルに発展しやすいです。
まずは、契約時にお互い原状回復についての見解が一致しているかの確認が必要になります。仲介業者を介しても構いませんので、特約を見直し、契約前に齟齬を無くしておきましょう。

3、原状回復義務の費用を抑える2つの方法

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原状回復のコストは業者によって違います。自分たちで安くやってもらえる業者を選べれば良いですが、大抵の場合は貸主から指定された業者を利用することになり、想定より高くなってしまいます。
なぜなら、借主は費用を安く済ませたいと思い、反対に貸主は次の借主募集の為に、丁寧に修復したいと思うからです。

それでは、どうしたらこのコストを安く抑えることが出来るでしょうか。
これから2つのポイントをお教えします。

3-1、相見積もりで値引き交渉する

業者が指定されている場合、その業者の価格が適正かどうか判断しなければなりません。その際は、相見積もりで、他社と比較しましょう。

前章でも述べたように、借主としては1円でも安い業者を使いたいところですが、業者によってはその値段の差が、手抜き工事や、後々原状回復できていない箇所が見つかるといったトラブルを引き起こしかねません。しかし、相場より高かったり、余計な項目でお金を取られたり、損をすることも嫌でしょう。

その際は、複数の業者に原状回復の見積もりをお願いし、自社の広さ・構造で、それぞれの部分にいくらかかり、合計どれくらい支払うのが妥当なのか知ることが必要です。

業者指定の場合、結局安くできないではないかと思われるかもしれませんが、適正価格が分かれば、その見積書を元に、貸主に項目や費用の交渉をすることができます。

根拠を出し、貸主に頼めば、業者の変更や原状回復箇所の削減を認めてくれる可能性は十分にあります。指定の業者に見積もりを出してもらいながら、他社にも見積もりを頼み、妥当な金額であるか確認してから、取りかかりましょう。

3-2、居抜きで原状回復義務を回避する

「居抜き」とは、前の店舗やオフィスの内装・設備をそのままそっくり借り受けることを指します。例えば飲食店居抜きだった場合、1から水回りの工事をしなくて済むので、そこでまた別の飲食店を始めたい方には、初期費用を抑えられるうってつけの物件です。

居抜き物件として貸し出すことが出来れば、原状回復での内装まるごとの工事や、設備の撤去にお金をかけず、簡単なクリーニングと修繕だけで済む場合があります。

居抜き物件として売り出すためには、貸主との話し合いが必要です。基本的には、貸主としても、自分たちの退去後すぐに別の借り手に引き継げることは、賃料収入の大きなメリットであり、居抜き物件はスケルトン物件(設備など何もない構造のみの物件)よりも数が少ないため、入居者も見つかりやすい、お得な条件となります。

一方で、注意点が2つあります。
1つ目は、居抜きとなる元の内装が、次の入居者にとって魅力的でなければならないことです。一般的なオフィスや店舗ならば良いですが、下手に個性を出した内装や、転用しにくい構造だと借り手が見つからない場合があります。

その際は、内装よりも間仕切りや設備をメインに見てもらい、次の入居者に、内装を変える条件やレイアウトを変える条件を提示し、原状回復丸ごとよりも安く済む交渉を目指しましょう。

2つ目は、解約予告期間に気をつけることです。住宅用と違い、事業用の場合は原状回復の時期が、契約期間中になります。そのため、原状回復を行う日にちも考慮し、3-6ヶ月の間に、解約予告しなければなりません。
予告後は準備~退去となりますので、次の借主を見つけたい場合は、解約予告期間の前までに探す必要があります。

居抜きとして借主を探すならば、専門の『居抜き店舗.com http://www.i-tenpo.com/』や『居抜き市場 http://www.inuki-ichiba.jp/』で募集するのがお勧めです。
掲載費用をこちらで負担することで、より貸主のメリットを主張でき、原状回復義務の軽減に繋がります。

居抜きで退去する際は、自分達の借りた状態がどういう状態であったか、次の入居者に引き継ぐと親切です。

4、まとめ

いかがでしたでしょうか。原状回復義務がどういうものか理解できましたか?
事業用契約であっても、通常損耗まで含めた100%の原状回復義務かどうかは、特約次第になります。まずは契約時、そして退去を決めた時に、契約書の中身をしっかりと確認することが大切です。

ガイドラインが制定されても、貸主・借主双方に原状回復義務の範囲は未だ浸透しておらず、トラブルの原因にもなります。貸主と借主の退出時の希望は、いつまでも相容れないものだからです。しかし、これまでの判例や特約をしっかりと押さえていれば、必ず原状回復義務を減らすことが出来ます。

貸主や仲介業者に言われたことを鵜呑みにせず、自分達で考え、損せず原状回復義務を全うしましょう。

 

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