後のトラブル回避に役立つ!事務所賃貸借契約書の読み方

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事務所として賃貸物件を契約しようと思っている皆さん、賃貸借契約書の中身をしっかり確認しましたか?
普通の住宅を借りたことがあっても、事務所や店舗といった事業用だと、記載されている内容が違ったり、ルールも独特だったりするため、面倒だからと読み飛ばすと痛い目をみるかもしれません。

慣れていない人には読みづらい契約書も、この記事を読めばどこに注意すべきか、自分に有利な形に契約書を近づけるためのポイントが分かります。
不利な契約は、後々トラブルに発展しかねません。トラブルを回避するためにも、この記事を読んで事務所賃貸借契約書への知識をつけて契約に臨みましょう。

目次
1. 契約書で注意するポイント⑥
1-1 保証金・敷金
1-2 中途解約
1-3 契約解除
1-4 期間内解約
1-5 明け渡し
1-6 遅延損害金
2. 絶対に読んでほしい特約項目
2-1 フリーレント
2-2 原状回復
3. 契約書で交渉するならこのポイント③
4. まとめ

1. 契約書で注意するポイント⑥

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それでは実際に、契約をするうえで契約書のどんな点に気をつけなければならないのか、ネット上にある事務所賃貸借契約書の条文雛形を手本に、事業用ならではの確認すべきポイントをお教えします。
※事務所賃貸借契約書 雛形ならこちらがおすすめです<https://sogyotecho.jp/wp-content/uploads/2014/09/04a7866b6f2c1f1a9bf6fc38c7a048fc.pdf

契約書には雛形と呼ばれるものが存在します。それぞれのオーナーが自分たちに合わせた雛形を持っていて、その雛形を元に、もっとその建物や借りる相手に合わせた内容に中身を変えていったものが、案文と呼ばれます。
この案文の段階で、仲介業者を介して、双方の希望の擦り合わせを行い、合意されたものが原文となり、契約を交わす際に使われます。

よって契約内容について交渉したい場合は、原文になる前の「案文」段階までに行いましょう。

1-1 保証金・敷金

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ここで気を付けるべきなのは①金額 ②預託(支払い)日です。住宅賃貸ではよく聞く敷金ですが、保証金も役割は同じです。滞納した賃料や原状回復時に使われる金銭のことであり、退去時の残額は返還されるものでもあります。

①金額に関しては、事務所や店舗といった事業用の場合、そもそも月々の賃料自体が高くなるため、必然的に、額も高くなることになります。
また事業用の場合、平均敷金は3~6か月と、住宅の1~2か月よりも高いため、契約時点で相当な額の用意が必要となってきます。
例で挙げた条文は賃料20万円に対し、保証金120万円ですので、6か月分請求されていることがわかります。

そもそも、物件を見せてもらっている間に、賃料の交渉や保証金の話については納得の上で案文確認に進んでいると思いますが、ここで改めてその時の話と違わないか、保証金額は妥当かを確認しましょう。案文擦り合わせが、最後の交渉場です。

②預託日は保証金支払いの中でも大きなポイントになります。基本的には「契約時」支払いとなりますが、事業用で気を付けるべきなのは、実際に入居する日と、契約日の間が大きく開く可能性があることです。

基本的に、事業用に貸し出しているビルは6か月前までに退去勧告し、勧告後から退去までの間に賃貸人は新たな借り手を、賃借人は新たな移転先を探します。よって、双方の事情によって、入居は何か月も先、という事態が生まれるのです。
契約時に保証金を支払うのは、賃貸人にとって、ようやく見つけた賃借人を逃さないための手段となります。

よって、案文をもらった際に保証金の支払日を確認していないと、いざ契約する時に保証金が用意できていない、というトラブルになりかねません。
保証金や敷金の預託日は必ず記載されており、ほぼ契約時となっていますが、ごくたまに入居予定日の前日という形もあります。
物件探しの段階で、入居前の契約すぐにこれだけの金額が必要、という目安にもなるので、必ず確認しましょう。

1-2 中途解約

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ここでは「退去通告期間」に気を付けましょう。
契約を更新せず、退去を決めた賃借人は、基本的に決められた期間を設けての退去通告が必要となります。言い方を変えると、通告してから一定の時間がなければ出ていけないということです。
その平均的日数が6か月になります。

前項でも述べましたが、基本的にオフィスビルのような高額な物件の借り手を探すには、時間がかかります。もし仮に、通告から退去までの期間が短く、借り手がいない=賃料が得られない期間が1か月でもあれば、賃貸人にとっては大きな損失となります。
よって6か月は双方の為に必要な時間なのです。

住宅では1か月前の通告が一般的なので、住宅用と同じだと思い込んでいると余計なコストに繋がります。
原状回復や引越しのスケジュールを立てる際にも必要なので、この期間は確認しておきましょう。

1-3 契約解除

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続いて、「契約解除の条件」を確認しましょう。
基本的に、賃貸人からの契約解除には、「賃貸借の信頼関係を著しく壊す」ような正当事由が必要です。賃料滞納ならば、裁判所での過去の判決では滞納6か月がそれにあたるとされています。

よって、賃貸人も2か月と記載してもそれが有効ではないことを理解しています。
しかし、それでも記載しておけば賃借人は2か月以上の滞納に気を付ける可能性が上がり、契約書を武器にすれば督促もしやすいため、法的に無効でありながら契約書から削除されにくい項目です。

削除自体は諦めるべきですが、もしこの契約解除が1か月になっていたら、交渉を行いましょう。
たまたま口座にお金が入っていなくて、賃料の支払いが遅れた場合、1か月という条件で賃貸人から強引な督促や退去を迫られたら、すぐに対応できたとしても今後の賃貸借関係に影響がでます。
賃料の滞納をする気が全くなくとも、万が一のミスを考え、1か月を2か月に変更してもらえないか尋ねましょう。(2か月は契約解除での平均月数です。)

余裕がある場合は、1か月分保証金に上乗せすると、応じてくれやすくなるでしょう。

1-4 期間内解約

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多くの契約書には一定の解約予告期間があれば、賃借人だけでなく、賃貸人からも契約を終了させることができると載っています。
しかし基本的に、賃貸人は前節のような正当事由がない限り、賃借人との解約を終わらせることは出来ません。
よって、この項目も実際に裁判所で主張しても無駄ですが、賃貸人の多くは理解しているうえで契約書に記載します。

形式的に載せている場合もあれば、万が一の時の保険として載せている場合もあります。
どちらにしろ、載せることで有利にはなっても不利にはならないため、記載を指摘しても削除してくれない場合が多いです。

基本的には、書いてあるな、程度の認識で構いませんが、万が一本当に解約できると思われていたら後々トラブルになりかねない為、仲介業者を通して、無効になることを承知で載せているのか、削除してもらえないか一度聞いてみることが必要です。

1-5 明け渡し

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原状回復の項目では「業者の指定」に気を付けなければなりません。

費用は自分達借りた側が払うのに、なぜ自分たちで業者を指定できないのか、という疑問があると思います。
これは、少しでも綺麗に直して次の借り手に渡したい賃貸人と、少しでも安く退去して移転費用を抑えたい賃借人の、ニーズの平行線によるものです。
賃借人に業者選びを任せると、費用を安く抑えるために安い業者に頼み、結果杜撰な工事となって、賃料収入が見込めないロスタイムが生まれるリスクがあります。
そのリスクを回避するために、業種指定であることを契約書に記すのです。

では絶対に賃貸人の業者でなければならないかと言うと、そうでもありません。
もし本当に馴染の業者がいて、そこでお願いをしたいなら、工事費の何%かを賃貸人に収めることで、賃借人の推薦業者を認めてくれる可能性もあります。

同じく、入居時に造作を変えてレイアウトやオフィスイメージを変えたい、といった場合でも、内装業者が指定されていることがあります。
しかし、作ることに関しては直すよりも緩いため、事前に申請していれば賃借人の指定業種で可能、の確率が高いです。
案文に文章が載っていなければ賃貸人に確認し、その1文を記載してもらうと確実になります。

1-6 遅延損害金

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遅延損害金で気を付けるべきは「金利」です。ここでは遅延損害金の中で最も使われる14.6%が記載されています。
契約書によっては18%だったり20%だったりと高いことがあるため、この数字は交渉ポイントになります。
14.6%はかつての「日歩4銭」という金利計算に基づく数字であり、法で定められているわけではありませんが、反対にこれ以上高いことが良い、ということもありません。
他社より高いと主張したり、何に基づく数字なのか確認して、金利を下げられないか交渉しましょう。

何が起こるか分からない為、遅延する気がなくても下げておくに越したことはありません。

2. 絶対に読んでほしい特約項目

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特約とは、雛形から作られた条文に加え、その契約のために特別に結ぶ項目のことです。
前章であげた条文の後に、「特約」の項として記されます。

特約は、条文に書かれた内容の上書き・補足となるため、力関係としては特約のほうが強いことになります。
例え契約書を読むことが手間であったり、相手を信頼していたとしても必ず確認したい項目です。

主に、特約で書かれることは以下の内容です。

・フリーレント
・フリーレント利用後の解約で発生する違約金
・特別な造作
・原状回復の範囲と条件
・保証会社の加入
・造作などの買取請求権の拒否 など

2-1 フリーレント

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最近では大体の物件にフリーレントがついているため、特約の中でもよく見るようになりました。
フリーレントとは一定期間の賃料が無料になるシステムを指し、免除される期間・共益費の扱い・違約金の大きく3つについて書かれます。

特に見落としがちですが、賃料が無料となっていても共益費は別になっている確率が高いため、免除期間は全く支払わなくていいと思い込んでいると、初期費用に大きく狂いが出るかもしれません。

2-2 原状回復

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続いて、特約の有無に大きく左右される内容として、原状回復があります。
基本的に、事業用の原状回復費用は賃借人の全額負担ですが、これは特約に明記されていれば、となります。
※詳しくは「どこまで我が社が負担する?原状回復義務の全て」をお読みください。

反対に、この明記がない場合は、事業用であっても原状回復の範囲は国土交通省が指定したガイドラインにそって、通常損耗分以上のみが請求対象になります。
しかし事業用の場合は、原状回復費用を100%負担してもらわなければ、賃貸人にとても不利となるので、基本は記載されているもの、だと考えてください。

記載されているからこそ、退去時に「聞いていない」という主張は無駄であり、裁判に持ち込んでも費用がかかるだけになります。払わなければならない、という認識は持っておきましょう。

3. 契約書で交渉するならこのポイント③

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ここまで案文確認での交渉について触れてきましたが、基本的に契約書の中身を大きく変えることは不可能です。特に、大手の会社がオーナーであればあるほど、雛形は絶対のものであり、変えることは出来ません。

反対に、個人オーナーであれば融通はそれなりに利きます。
ここで、契約書内で交渉出来る余地のあるポイントをまとめました。

図
交渉は基本、仲介業者を介して行われます。もちろん、個人オーナーと直接やり取りの場合は、自分が交渉人とならなければなりませんが、基本はプロに任せることが出来ます。
交渉を上手く進めるには、相手の信頼を得ることが必要です。既に取引したことがある人は前回の印象次第ですが、相手が好印象を持っていれば、契約内容にも融通が利くようになるでしょう。

最後に、契約書の内容を擦りあわせるタイミングについては1章冒頭で触れましたが、案文確認中までです。
いざ、原本として仕上がった時にはもう訂正できないので、物件探しの段階から自分の希望や契約での不安は形にしておき、確認こぼれがないようにする必要があります。

また基本的に、賃貸人有利に作られている契約書ですが、賃借人は自由に交渉することが出来ます。しかし、交渉しすぎて面倒くさがられると、話自体がなかったことになりかねない為、絶対に譲れない部分や、尋ねたい部分などをまとめ、やりとりを少ない数に抑えることが必要です。

交渉のタイミングを間違え、原文になってから主張する、まして契約後に契約内容について主張するのは、その後の賃貸借関係に悪影響となりかねません。
必ず、案文確認中で、交渉を終わらせるようにしましょう。

4. まとめ

いかがでしたでしょうか。契約書といった文面だと、形式ばっていて何が書いてあるのか分からない、と読み飛ばす方もいたでしょうが、中身について理解して頂けましたか?
事務所賃貸借契約書を全て読まなくても構いません。特約→条文の順で、この記事で挙げた特約+6つのポイントを押さえるだけで、後のトラブル回避に繋げることが出来ます。

この記事を読んだあなたが、トラブル回避も含め、不利にならないように賃貸借契約書の交渉が出来る力になれれば幸いです。

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